ティンバスのオペレーションにおける大きな関心の1つは溶融スズの酸化を防ぐことです。この目的のために、ティンバスには1~10%の水素ガスを混合した窒素ガス(フォーミングガス)からなる正圧の酸化防止用の雰囲気ガスが供給されています。酸素はティンバス周辺の覗き窓からの漏入空気、ガラス板からの拡散、あるいはフォーミングガスの不純物としてティンバス内に入るでしょう。スズ中の酸素レベルがわずか数ppm超えるだけでも、容易に種々のトップ面とボトム面欠陥を招き、生産効率や最終ガラス製品の価値にマイナスの影響を与えるでしょう。
溶融スズ中における酸素の溶解度は温度に強く依存します。ある温度における酸素飽和レベルが超えた時は、二酸化スズ(SnO2)が溶融スズの表面に形成されるでしょう(所謂、ドロス)。主に酸素溶解度の低いコールドエンド域において生じるでしょう。さらに、ホットエンド域においては温度が上がるにつれ、揮発性の一酸化スズ(SnO)がより低温のオーバーヘッド装置や天井部分にSn やSnO2沈積物を形成しながら、容易に溶融スズから蒸発するでしょう。
溶融スズ中の高い酸素レベル、およびその結果としての溶融スズ表面や雰囲気ガス中におけるより高いSnO2やSnOレベルは、ブルームやティンピックアップのようなボトム面欠陥を、そして表面のスズ玉、トップスペックおよびクレータードリップのようなトップ面欠陥を引き起こすでしょう。これら全ての酸素関連欠陥は生産効率と製品価値にマイナスの影響を与えます。さらには、高付加価値コーティングの開発では、最小限の表面歪みが品質上求められ、酸素コントロールがより一層重要になるでしょう。